第16回『第2図書係補佐』by又吉直樹

ども

 

岸海生です。

 

いつもは「実用書」「ビジネス書」の

ジャンルを紹介している

このブログですけど

 

たまには、tasteを変えて(味変)

今日は文学的にいきます。(いきます)

 

『第2図書係補佐』

  by又吉直樹

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◇本文より引用

三日間誰とも会話していないことに気づきなんとなく不安になり、少し声を出してみようと虚空に向かって「ああ」と発声してみた。久しぶりに聞く自分の声は声帯が弱っているのか少しかすれていて随分頼りなく感じられた。何よりその言葉が生活に基いてないただの無意味な音でしかないことが妙に悲しかった。誰とも会う気がせず人と会うのが怖かった。だが部屋にいたまま自分が死んだら誰も発見してくれないんじゃないかという臆病な不安もあり、夕暮れになると部屋から脱出して外を歩いた。毎日ため息ばかりをついていて往来を歩けば高い確率で職務質問を受けるが警察にも上手く対応できずうろたえる。二十代の前半にそのような駄目な時期があった。絶えず自分が空中に浮いているような感覚で何に対しても実感がなかった。

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二十歳の頃、僕は毎晩のようにヘッドフォンを頭に装着し鼓膜を引き裂くような爆音で音楽を聴き、眼からは大量の涙を流しながら全力で自転車を漕いでいた。近所の住人達からは相当危ない奴だと恐れられていただろう。

 そんな僕に吉報が届いた。姉に双子の娘が生まれた。僕は二人の女の子の叔父になった。生きるぞと思った。

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山月記』は詩人を目指す男が一向に名声が上がらないことに苦悩し、そのプライドの高さゆえ虎に成り果てるという物語である。僕も高校の頃、自尊心の高さゆえ虎になりかけたことがあった。大阪で部員二百名を誇る全国大会常連の名門サッカー部に入ってしまったためだ。

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この本の出版が、平成23年

 

つまり、

又吉が『火花』で芥川賞を受賞する前に

出版された本。

 

これを初見で読んだときのワイの感想

→は?又吉すげー。コイツの文章力、キチガイ地味てんな。クッソ面白いぞ。

 

つまり、ワイには先見の明があった

(今もある)

 

ちな、ワイは『火花』は本も映画も一度たりとも見てない。

ワイは世間逆ばりお兄さんなので。

 

世間が右向くなら、ワイは左向くし。

世間が良いと評価するものはワイは絶対に評価しないし。

世間がダメだというなら、ワイは喜んでそれを肯定する。

 

まあ、好きだったインディーズバンドが

メジャーデビューした瞬間に近いものがある。

 

「あ、ファンやめますわー」的な?

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ワイもね。

ずっと又吉さんとおんなじ感じよ。

又吉さんの文章にめっちゃ共感できた。

 

ワイも高校中退して

引きこもっている時とか

深夜徘徊して、ipodでひたすら音楽聴いて過ごしてたし。

 

大学休学して引きこもっている時も

千葉の方で途方もない虚無と

空っぽを感じながら

永遠の中を立ち尽くしていた。

 

ずっと明けない夜の中を過ごして

ずっと明けない夜の淵を

歩き続けてきた。

 

それでやっと今、

この場所まで辿り着けたんだ!

 

無価値なことも特別になる

ありのままで奇跡だから

〜amzarashi「奇跡」より〜

 

【今日の好きな1節の詩】

あの孤独と自殺願望が

君だけの文学になるんだ

その手首のアザ

とても綺麗でした

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〜BLEU ENCOUNT 「文学少女」より〜